丘のうえから
「障害者雇用促進法」改正に想う
平成28年3月28日
私が障がい者の就労支援に携わったのは、平成元年にグループホームが制度化され、入居者の要件に「就労していること」が条件とされたことに始まりました。当時、私自身に「雇用施策における障がい者対策」についての情報を集める術も資質もなく、金剛コロニーで生活する利用者の「街で暮らしたい」との想いを実現する為に、とにかく近隣の会社等に「在籍」させることだけを目的として支援していました。今にして思えば、その方の「労働者としての権利を守る」といった視点が皆無だったと深く反省するところです。
時は流れ、当法人では平成17年度より地域における障がい者雇用推進の要である「障害者就業・生活支援センター」を受託運営しています。現在センターには600人を超える方が登録されており、ケアマネジメント手法による就労支援を行っています。今般、「障害者権利条約」批准の法的整備として、平成28年4月に「障害者差別解消法」が施行されますが、並行して雇用の分野でも「障害者雇用促進法(障害者の雇用の促進等に関する法律)」の改正によって、民間企業においても「合理的配慮」が法的義務となりました。それまで同法においては、ことの是非は別として「雇用率制度」を基軸とし、障がい者は「保護雇用の対象」と位置付けられてきました。しかし、今般の改正により労働者である障がい者は「権利の主体者」としての地位が法的に確立されたことになります。我々支援者はこの制度改正による革命的発想の転換について深く理解し、改めて利用者の自己実現への想いに真摯に向き合い、寄り添い、日々の支援活動に取り組みたいと思います。
地域生活総合支援センターきらら