丘のうえから
発達障がいのある子供の支援
平成27年10月12日
当法人では現在、就学前から概ね小学校低学年までの発達障がいのある子どもへの「療育支援」を府内3か所の事業所で行っています。発達障がいの支援においては、「早期発見・早期療育」が重要とされている中、法人で療育支援の事業を開始し早10年、たくさんの子どもの発育を見、また、保護者の方々からもたくさんの好評をいただいてきました。療育支援は1年クールで展開していることから、その後のフォローを考え、保護者をはじめ通園・通学先へもアプローチを行い、子どもをとり巻く環境の整備にも力を注いできました。
昨今、発達障がいのある概ね十代の子どもの専門支援機関が非常に少ないといった話題をよく耳にします。大阪府発達障がい児者支援体制整備検討部会においてもそのような議論がなされているようです。障がいに加え、特に思春期を迎える子どもの心身の変化と相まって、バランスを崩すケースが増えているとのことです。子どもの中には、それらのことが引き金となり、不登校・引きこもりに至ることもあり、早急な対応が望まれています。
先日、某大学のキャリアセンターの方々と話す機会があり、「学生の中にもそのような人たちがおり、対応に苦慮している。」とのコメントがありました。幼少期とは異なり、人生の岐路(思春期→進学→就職等)に立たされた時、また、他者とは違う自分を感じた時に心身のバランスを崩すケースが増加していると言えるでしょう。
府内には、ごく僅かではありますが、そのような十代の子どもを対象とした個別療育やグループ療育、またSSTをすでに実践している事業所があります。それらが広がっていくことにより、正に「子どもから大人への切れ目ない支援」が実現できるのではと考えます。今回は発達障がいに視点を置いて述べてきましたが、それに限らず、今後も当法人においては時流やニーズに沿った支援の展開をより一層深めていきたいと考えています。
※平成27年12月12日(土)13:00~ 発達障がい支援をテーマとした当法人主催の「障がい福祉セミナー」を開催します。詳細はHPにて
「合理的配慮」
平成27年10月5日
平成23年に、障害者基本法の一部が改正され、その第4条で、「差別の禁止」が基本原則として規定され、平成25年6月に、障害者差別解消法が公布、平成28年4月から施行されることになりました。平成26年1月には、日本国内での関連する法律が整備されたことで、国連の障害者権利条約の批准を行いました。これまでも障がい者に対する差別はいけないことということは、わかっていても残念ながら差別と思われることが多く起こっています。今回の障害者差別解消法では、障がいを理由として、大きく2種類の差別が禁止されています。1つは、正当な理由のない差別的取扱い、2つ目は、社会的障壁を除去するための合理的配慮を行わないことです。差別的取扱いについては、なんとなく理解できますが、合理的配慮という聞きなれない言葉について考えた時、健常者も合理的配慮の上に立って、日々の生活を送っているのではないでしょうか?私たちの周りにある便利な物や環境により、私たちの社会的障壁を除去してきたことを考えた時、障がいがあるが故に生活のしづらさ、不便さ、困りごとなど活動の制限が生じていることと同じなんだと。そのためにも、障がいのある人たちが今、何があれば、どんな環境があれば安心して住みやすいかを周りが決めるのではなく、私たちは、当事者である障がいのある人たちの声にしっかり耳を傾け、「当事者本位の合理的配慮」について考える必要があると強く感じます。事業団理念である「ともに生きる心を育み ともに歩む社会の実現」をしっかり意識し、来年4月に施行される障害者差別解消法を契機に、すべての人が機会均等に生活できるための努力をしたいと思います。
転倒と骨折
平成27年9月28日
骨折により医療機関を受診される患者さんは年間200万人以上に上ります。年齢と骨折率の関係をみると、転んだ時に骨折する率は年をとるにつれて高くなっていきます。60歳代の中半を超えると転んだ人のおよそ2人に1人が骨折しています。高齢になると筋力低下などで転倒しやすくなるだけでなく、骨粗しょう症で骨がもろくなっていることも背景になっています。高齢者の転倒による骨折は寝たきりの原因の第2位を占めるといわれており、たえず注意喚起を要する問題です。
若い人では骨折しやすい部位については特定できませんが、高齢者では転倒によってわずかな外力で骨折を起こしやすい場所が4つあります。①足の付け根(大腿骨頚部骨折)、②手首(橈骨遠位端骨折)、③肩(上腕骨近位端骨折)、④腰(腰椎圧迫骨折)です。
筆者が施設長を務める「すくよか」はこんごう福祉センター内にあり、重症心身障がい児者施設として医療と福祉が融合した施設ですが、開設から9年目を迎え、利用者の皆様の高齢化が進んでいます。転倒・転落の防止は日常最も注意すべき命題の一つとなっています。転倒予防のための運動として、ふくらはぎのストレッチ、下肢の筋力トレーニング、バランス訓練などを取り入れています。年齢を重ねていてもトレーニングを行うことにより、筋力の維持だけでなく増強も期待できます。これからも転倒・転落の防止に一層努めて参ります。