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丘のうえから

「合理的配慮」

平成27年10月5日

 平成23年に、障害者基本法の一部が改正され、その第4条で、「差別の禁止」が基本原則として規定され、平成25年6月に、障害者差別解消法が公布、平成28年4月から施行されることになりました。平成26年1月には、日本国内での関連する法律が整備されたことで、国連の障害者権利条約の批准を行いました。これまでも障がい者に対する差別はいけないことということは、わかっていても残念ながら差別と思われることが多く起こっています。今回の障害者差別解消法では、障がいを理由として、大きく2種類の差別が禁止されています。1つは、正当な理由のない差別的取扱い、2つ目は、社会的障壁を除去するための合理的配慮を行わないことです。差別的取扱いについては、なんとなく理解できますが、合理的配慮という聞きなれない言葉について考えた時、健常者も合理的配慮の上に立って、日々の生活を送っているのではないでしょうか?私たちの周りにある便利な物や環境により、私たちの社会的障壁を除去してきたことを考えた時、障がいがあるが故に生活のしづらさ、不便さ、困りごとなど活動の制限が生じていることと同じなんだと。そのためにも、障がいのある人たちが今、何があれば、どんな環境があれば安心して住みやすいかを周りが決めるのではなく、私たちは、当事者である障がいのある人たちの声にしっかり耳を傾け、「当事者本位の合理的配慮」について考える必要があると強く感じます。事業団理念である「ともに生きる心を育み ともに歩む社会の実現」をしっかり意識し、来年4月に施行される障害者差別解消法を契機に、すべての人が機会均等に生活できるための努力をしたいと思います。


転倒と骨折

平成27年9月28日

 骨折により医療機関を受診される患者さんは年間200万人以上に上ります。年齢と骨折率の関係をみると、転んだ時に骨折する率は年をとるにつれて高くなっていきます。60歳代の中半を超えると転んだ人のおよそ2人に1人が骨折しています。高齢になると筋力低下などで転倒しやすくなるだけでなく、骨粗しょう症で骨がもろくなっていることも背景になっています。高齢者の転倒による骨折は寝たきりの原因の第2位を占めるといわれており、たえず注意喚起を要する問題です。

 若い人では骨折しやすい部位については特定できませんが、高齢者では転倒によってわずかな外力で骨折を起こしやすい場所が4つあります。①足の付け根(大腿骨頚部骨折)、②手首(橈骨遠位端骨折)、③肩(上腕骨近位端骨折)、④腰(腰椎圧迫骨折)です。

 筆者が施設長を務める「すくよか」はこんごう福祉センター内にあり、重症心身障がい児者施設として医療と福祉が融合した施設ですが、開設から9年目を迎え、利用者の皆様の高齢化が進んでいます。転倒・転落の防止は日常最も注意すべき命題の一つとなっています。転倒予防のための運動として、ふくらはぎのストレッチ、下肢の筋力トレーニング、バランス訓練などを取り入れています。年齢を重ねていてもトレーニングを行うことにより、筋力の維持だけでなく増強も期待できます。これからも転倒・転落の防止に一層努めて参ります。


自立運営の確立

平成27年9月21日

 当法人が自立民営化に向けての大綱を示して以来10余年が経過し、その目標年度である平成29年も目前に迫ってきました。自立とは文字どおり「自分で立つこと」ですが、私たちのような福祉サービスを提供する事業者にとってどのような状態を指すのでしょうか。

 私は、サービスを利用される方が、日々安心して暮らし、人生を充実したものにしていくために必要なサービスを安定的に提供することができる状態だと考えています。

 経営資源は、「人、物、金」と昔から言われています。今は、これに「情報」「時間」を加えることもあるようです。人は、人権意識の豊かな専門性の高い職員、物は、利用者が快適な時間を過ごすことができる環境、金は、多くの方に利用していただくことによって得られる収入、情報は、先進的な支援技術の吸収、時間は時代に即応する迅速な意思決定といったところでしょうか。

 自立した状態を維持するためには、これらの要素をバランスよく保ち続けることが必要です。

 公立施設の受託運営から出発した当法人が、いよいよ自らの足で歩き始めます。転ぶこともあるのでしょうが、自分で決めた道を進んでいくというのはわくわくするものです。

 「ここの支援があるなら安心ね」とたくさんの方から言っていただける法人であり続けたいと思います。