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丘のうえから

「変わりゆくもの」

平成27年10月19日

 金木犀の香る心地よい季節となりました。平成28年4月に3つの事業所の開所に向けて、また平成29年度の事業も見据え、ハード面の整備やソフト面の検討、利用者調整等々利用者や家族の顔を思い浮かべ、新しいものを立ち上げていく忙しさにやりがいを感じています。

 大阪府立金剛コロニーを中心に運営してきた当法人が、金剛コロニー利用者の新たな生活の場と時代に応じた事業について検討し、「再編」に動き始めたのは平成13年でした。『入所施設利用者の地域生活への移行』と『高齢・重度の利用者の様態に応じた施設の整備』を進め、民間社会福祉法人として、利用者の生活を守り、将来的にも安定した支援を継続できるよう検討を続け様々な取り組みを行ってきました。

 定員850人であった金剛コロニーは、現在では在籍者数272人となり、金剛コロニー以外にも府内14か所において日中支援や入所支援、グループホーム、短期入所、相談支援等の各種事業を展開し「再編整備」も最終段階を迎えています。

 この間の福祉制度の大きな変動の中で、地域の様子も徐々に変わってきたように思います。障害福祉サービス事業所は確実に増加し、支援学校の下校時には放課後等デイサービスの車が並んでいます。NPO法人や株式会社もグループホームを運営するようになり、高齢者を支援してきた法人や医療法人も障がい分野の事業を始めるといったこともよく耳にします。事業立ち上げに伴う地元説明時の住民の反応も、不安の声や厳しいご意見はあるものの、障がいのある方を真っ向から否定する方よりも、共存するためにはどうすればよいのか考えてくださる方が増えているように思います。

 障がいのある方にとって、利用できるサービスが増え選択肢が広がることは望ましいことです。

当法人も時代の波に淘汰されることがないよう、一人ひとりの利用者に満足いただけるサービスを常に追求し、地域に根差した事業所として成長していきたいと思います。


発達障がいのある子供の支援

平成27年10月12日

 当法人では現在、就学前から概ね小学校低学年までの発達障がいのある子どもへの「療育支援」を府内3か所の事業所で行っています。発達障がいの支援においては、「早期発見・早期療育」が重要とされている中、法人で療育支援の事業を開始し早10年、たくさんの子どもの発育を見、また、保護者の方々からもたくさんの好評をいただいてきました。療育支援は1年クールで展開していることから、その後のフォローを考え、保護者をはじめ通園・通学先へもアプローチを行い、子どもをとり巻く環境の整備にも力を注いできました。

昨今、発達障がいのある概ね十代の子どもの専門支援機関が非常に少ないといった話題をよく耳にします。大阪府発達障がい児者支援体制整備検討部会においてもそのような議論がなされているようです。障がいに加え、特に思春期を迎える子どもの心身の変化と相まって、バランスを崩すケースが増えているとのことです。子どもの中には、それらのことが引き金となり、不登校・引きこもりに至ることもあり、早急な対応が望まれています。

 先日、某大学のキャリアセンターの方々と話す機会があり、「学生の中にもそのような人たちがおり、対応に苦慮している。」とのコメントがありました。幼少期とは異なり、人生の岐路(思春期→進学→就職等)に立たされた時、また、他者とは違う自分を感じた時に心身のバランスを崩すケースが増加していると言えるでしょう。

 府内には、ごく僅かではありますが、そのような十代の子どもを対象とした個別療育やグループ療育、またSSTをすでに実践している事業所があります。それらが広がっていくことにより、正に「子どもから大人への切れ目ない支援」が実現できるのではと考えます。今回は発達障がいに視点を置いて述べてきましたが、それに限らず、今後も当法人においては時流やニーズに沿った支援の展開をより一層深めていきたいと考えています。

 

※平成27年12月12日(土)13:00~ 発達障がい支援をテーマとした当法人主催の「障がい福祉セミナー」を開催します。詳細はHPにて


「合理的配慮」

平成27年10月5日

 平成23年に、障害者基本法の一部が改正され、その第4条で、「差別の禁止」が基本原則として規定され、平成25年6月に、障害者差別解消法が公布、平成28年4月から施行されることになりました。平成26年1月には、日本国内での関連する法律が整備されたことで、国連の障害者権利条約の批准を行いました。これまでも障がい者に対する差別はいけないことということは、わかっていても残念ながら差別と思われることが多く起こっています。今回の障害者差別解消法では、障がいを理由として、大きく2種類の差別が禁止されています。1つは、正当な理由のない差別的取扱い、2つ目は、社会的障壁を除去するための合理的配慮を行わないことです。差別的取扱いについては、なんとなく理解できますが、合理的配慮という聞きなれない言葉について考えた時、健常者も合理的配慮の上に立って、日々の生活を送っているのではないでしょうか?私たちの周りにある便利な物や環境により、私たちの社会的障壁を除去してきたことを考えた時、障がいがあるが故に生活のしづらさ、不便さ、困りごとなど活動の制限が生じていることと同じなんだと。そのためにも、障がいのある人たちが今、何があれば、どんな環境があれば安心して住みやすいかを周りが決めるのではなく、私たちは、当事者である障がいのある人たちの声にしっかり耳を傾け、「当事者本位の合理的配慮」について考える必要があると強く感じます。事業団理念である「ともに生きる心を育み ともに歩む社会の実現」をしっかり意識し、来年4月に施行される障害者差別解消法を契機に、すべての人が機会均等に生活できるための努力をしたいと思います。